福井大学医学部

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学(耳鼻咽喉科学)

研究内容紹介

医学部の耳鼻咽喉科頭頸部外科学として研究活動に力を入れています。

特色等

スギ花粉症に対する舌下免疫療法の臨床研究、効果発現機序の解明、患者からの網羅的機能解析に最も力を注いでいる。分子標的治療候補蛋白と臨床マーカーとして現在特許出願を1件行い、今後も更なる出願が望める。スギ花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎の遺伝子多型検討から、発症予防の可能性、オーダーメイド治療の可能性が出てきている。アスピリン喘息においても網羅的機能解析で2つの因子が見出せた。

本学の理念との関係

本学の理念である高い倫理観のもと、人々が健やかに暮らせるための科学と技術に関する世界的水準での教育・研究を推進している。特にアレルギー性鼻炎の研究、頭頸部癌の研究では、先端科学技術を駆使した独創的な国際レベルの研究である。またいずれの研究も臨床への還元を目指したものであり、実用性が高い。

主要研究テーマ

1.鼻科学・アレルギー学・臨床免疫学に関する研究

1)スギ花粉症に対する舌下免疫療法の継続的臨床効果とAPOA4の臨床マーカーとしての重要性を検討した。2)スギ花粉症患者と非アレルギー患者の遺伝子多型を候補遺伝子アプローチおよび全ゲノム解析によって検討している。3)PD-ECGFのIgE産生における効果を検討した。4)鼻腔内の客観的評価を目指して鼻腔NOを検討した。5)アスピリン喘息と非アスピリン喘息症例の鼻茸サンプルを用いてプロテオーム解析を行った。6)アレルギー性鼻炎薬物治療のプラセボ対照二重盲検試験を行った。7)鼻線維芽細胞におけるBLySの産生機序を解明した。8)好酸球性副鼻腔炎の疫学調査を行った。
基盤B(藤枝重治)基盤C(山本英之、山田武千代) 若手B(坂下雅文、窪誠太)挑戦的萌芽研究(藤枝重治)厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患 藤枝重治、3件:分担者 藤枝重治)の資金を投入した。

業績年の進捗状況:鼻科学

1)舌下免疫療法の治療効果と血清中APOA4の上昇に有意な相関を認め、新規臨床マーカーの可能性と治療薬の可能性が見出せた。特許出願している。2)filaggrin 遺伝子のS2554X変異が日本人のアレルギー性鼻炎患者特有であった。3)PD-ECGFがIgE産生を亢進し、抗PD-ECGF薬がIgE産生抑制の可能性を見出した。4)鼻腔NOは症状スコアと相関を認めた。5)アスピリン喘息特有の2つの蛋白を見出し、組織化学で確認を行った。機能解析中である。6)鼻線維芽細胞にdsRNAの刺激を加えるとBLySが産生されることが判明した。7)好酸球性副鼻腔炎 3004名の疫学調査を行った。

2.頭頸部外科学・腫瘍学に関する研究

1) 頭頸部に多い悪性黒色腫において、細胞膜RETレセプターの遺伝子多型と腫瘍の増殖能および浸潤能との関連を検討した。2)複数の癌細胞株におけるTLR3とTLR 4の発現とそのリガンド刺激による癌細胞の増殖・浸潤能、形態への影響を検討した。4)中部地方の上咽頭がんの疫学研究を行った。5)甲状腺癌のプロテオーム解析を行った。6)頭頸部扁平上皮癌細胞株を用いて、HGF刺激により調節されるmicroRNAを検討した。 
若手研究B (成田憲彦、鈴木弟)の資金を投入した。

業績年の進捗状況

1)細胞膜RETレセプター691番の遺伝子多型が腫瘍の増殖と浸潤に重要であることを見つけた。2)dsRNA、LPS刺激によって口腔癌細胞の細胞骨格が、糸状仮足を形成すること。細胞浸潤亢進することを見つけた。3)甲状腺癌のプロテオーム解析にて複数の蛋白が癌特有であることを見出し、腫瘍マーカーになりうる可能性につなげた。4)HGFによって誘導される特有のmicroRNAを見つけた。

3.咽頭・喉頭学に関する研究

嚥下障害患者におけるカプサイシン刺激による咳反射について検討した。嚥下障害患者における予後因子を検討した。

業績年の進捗状況

嚥下障害患者ではカプサイシン刺激による咳反射が低下していた。

4.耳科学に関する研究

難治性顔面神経麻痺に対して行う顔面神経管開放術に際して、患者の嗅粘膜を採取し顔面神経表面に移植する方法を検討した。

業績年の進捗状況

患者の嗅粘膜を採取し顔面神経表面に移植する方法は、顔面神経管開放術後に治癒を促進した。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学(耳鼻咽喉科学)研究室

TEL
0776-61-3111