福井大学医学部

脳神経外科学

ごあいさつ

教授:菊田健一郎

教室の沿革

福井大学医学部 感覚運動医学講座 脳神経外科学教室は昭和59年(1984年)に福井医科大学脳神経外科として開設され、平成15年に福井大学と統合し現在の名称となりました。今年で創立25周年を迎えます。
初代教授 林實は金沢から進んだ治療技術を福井にもたらし、脳神経外科発展の萌芽となりました。平成14年(1992年)より二代目教授 久保田紀彦が引きつぎ、多大な研究業績を挙げるとともに、多数の弟子を海外留学させ、教室の学際レベルを上げ、国際的な教室にいたしました。
平成21年(2009年) 4月より菊田が三代目教授として着任いたしました。私は京都大学に8年余り勤務し、脳動脈瘤、もやもや病、頸動脈狭窄症、脳動静脈奇形などの脳血管障害を中心に、脳腫瘍、脊椎脊髄疾患におけるマイクロサージェリー(顕微鏡手術)を専門として診療を行ってまいりました。非侵襲的治療が発達する昨今ですが、それでも脳神経外科の基本は外科手術であると考えています。熟練した術者が行えば、手術は即効性と根治性という患者さんにとって大きな利点があり、近年の画像診断機器との併用で、滅多に後遺症が残るものではありません。この4月より北陸において新たに診療を開始しましたが、幸い手術を待ってくださる患者さんが増加し、大変有難く存じます。ご期待に応えられるよう精一杯頑張りますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

患者重視

新しく船出した、脳神経外科教室の方針として第一に「患者重視」を挙げたいと思います。福井大学病院は元来「臨床のできる大学病院」を目標に先人たちにより改革がなされ、大学病院としては異例なほど臨床に対して一体感のある病院となっています。緊急疾患には北米型救急を24時間展開する総合診療部・救急部が迅速に対応し、救急部若手医師の診療レベルは極めて高いと感じます。緊急手術においても麻酔科医師、ナーシングスタッフ、検査技師の方々が献身的な協力をしてくださいます。不幸にして後遺症が残った患者さんには、神経内科、リハビリ部、地域医療連携部が合同で毎週リハビリカンファレンスを開いてくださり、できるだけ回復するよう図られます。こういった方々と協力して、患者さんのことを最優先に診療に当たり、一人でも多くの方を治したいと考えています。

脳だけでなく脊髄・末梢神経まで

第二に当教室の名称にも表れていますが、「脳だけでなく脊髄、末梢神経まで診療」を行います。スタッフには脳腫瘍、血管内治療、内視鏡など、各分野において海外で勉強してきた専門医がバランスよく配置されており、あらゆる疾患に対応ができます。また欧米とは異なり、日本の脳神経外科医は手術だけを行っているわけではありません。術後管理から血管撮影検査、内科的治療、リハビリなど広い範囲をカバーし、基本診療科としての責任を果たしてまいりたいと存じます。

臨床と研究の両立

第三に「臨床と研究の両立」を挙げたいと思います。「大学の医者は論文ばかり書いていて患者を診ない」などと揶揄されます。臨床を軽視することは言語道断ですが、研究と臨床が二律背反のように論ずる意見に私は反対です。例えば治療が上手くいかなかったとき、臨床で「分けが分からないこと」が起こったとき、問題を整理し、分析し、科学的に解決する頭脳が必要です。研究を学んでいない医師の場合、経験からくる思い込みによって判断しがちで、誤った結論を導きかねません。日本の脳神経外科医の経験数は、残念ながら諸外国と比べればたかがしれており、どこも大差はありません。つまり臨床力を磨くための、日本流のアプローチとして研究は重要であり、研究と臨床は相補的なものであると考えています。脳神経外科にはまだまだ分からないことがたくさんあります。臨床に還元することを目標として研究を行うことが大切だと思います。
私はこれまで神経画像とナビゲーションを用いた臨床研究や、血管内皮細胞を用いた再生医学研究を行ってまいりました。福井大学は高エネルギー医学研究センターを擁する神経放射線画像、分子イメージングの中心的研究施設であり、3テスラMRIやPET-CTなどの高度画像技術があります。これまで教室で培ってきました脳腫瘍の病理、画像研究に、今後はナビゲーション技術、血管再生研究などを導入し、分子情報を用いた新たな治療法開発に努め、世界と勝負していきたいと思っています。

教育の充実

最後に教育については、福井大学はアドバンスコースをはじめ授業数が多く卒前、卒後教育プログラムが充実しています。教官の授業内容も査定されます。脳神経外科入局者に対しても専門医教育にスタッフ一丸となって努力しています。病院全体は高度に電子化され、毎朝の臨床カンファレンスは大型液晶スクリーンを用いてフイルムレスに行い、手術カンファレンスも電子化されたホワイトボードを用いるなど快適な環境下で行っています。手術技術についてはハンズオン教育を開始し、マイクロ手術ができるよう指導しています。実際の手術の際もスタッフが横につき、兄が弟を教えるような雰囲気で丁寧に教えます。研究を行う希望のある方の場合、博士号は、医員や助教として臨床研修を続けながら取得することも可能です。
アットホームな雰囲気で脳神経外科医の道を目指したいと考える方、脳神経外科に興味のある方は是非ともご参加をお待ち申し上げます。

未熟ではありますが、全員一致団結して良き臨床、教育、研究施設を目指して頑張ってまいります。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます

脳神経外科学研究室

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