福井大学医学部

精神医学

診療内容紹介

現代の高度情報化は、人類に多くの恩恵をもたらした反面、多大なストレス社会を生み出し、中高年のうつ病や不安障害、自殺が急増しています。また児童・思春期のこころのケアが叫ばれ、不登校・いじめ・被虐待・貧困というさまざまな問題を抱えた若者が増えています。こころの傷・トラウマをもったままでは社会に順応しづらいこともあるでしょう。心身症、PTSD、摂食障害などのストレス関連障害も増加の一途を辿っています。一方、高齢社会となった日本は、認知症、せん妄、緩和ケア、リエゾンなど他診療科や多職種との連携が不可避の状態です。これらの連携の充実を図り、地域社会に開かれた先進的な精神科医療を展開しています。また、先端画像機器など高度診断技術を駆使して、大学病院ならではの総合診療機能を活かしたチーム医療を実践すると共に、院内他科や関連医療機関との積極的な関わり合いの中で、地域に即したより良い医療サービスの提供に努め、精神疾患の早期発見・早期治療、さらには地域医療全体の活性化を目指しています。
当科では、開放病棟と閉鎖病棟の計40床から構成され、個室、隔離室、観察室も充実し、神経精神疾患の全般的な診療を行っています。下記に専門的な診療活動を紹介いたします。

1. 睡眠覚醒障害

終夜睡眠ポリグラフィ検査(PSG)、入眠潜時反復測定(MSLT)などを施行しています。不眠症、睡眠時無呼吸症候群、レム睡眠行動障害(RBD)、むずむず脚症候群、生体リズムの異常などの睡眠覚醒障害などの診断と治療を、2泊3日から3泊4日の検査入院(予約)にて行っています。

2. 修正型電気けいれん療法

遷延性・難治性のうつ病や統合失調症などを対象に、無けいれん性の修正型電気けいれん療法(ECT)を当院麻酔科蘇生科のご協力のもとに行っています。安全に行え、有効性も高いです。年間述べ100例を超える実施数です。

3. 治療抵抗性統合失調症のクロザリル治療

統合失調症に対する薬物治療(抗精神病薬)は着実に進歩しており、副作用が起きにくく、有効性が高い薬物が開発され続けています。しかしながら、通常の薬物(抗精神病薬)療法を、複数の薬剤を十分量、十分な期間に用いても、改善が認められない、あるいは、副作用のために十分に薬物治療が継続できないことも少なからずあります。長期入院、自宅での引きこもり、生活に重度の支障をきたしている「治療抵抗性統合失調症」状態の方々に、当院血液内科・内分泌代謝内科のご支援の下、抗精神病薬の一種のクロザリル治療を行っています。本治療にて改善し、社会復帰されている方々も多数おられます。

4. 児童青年期の精神医療

当院「子どものこころ診療部」とともに、不登校、発達障害、摂食障害、被虐待児者のトラウマ治療にも力を注いでいます。小中学生の入院治療も行っています。小中学生の入院治療では院内学級(福井県立福井東特別支援学校五領分教室)の利用や、ベッドサイドでの学習も行っています。発達障害や被虐待児に認められるトラウマに対してはEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)をはじめとするトラウマ治療も行っています。

5. てんかん

長時間の長時間の脳波・ビデオモニタリングなどにより、てんかんの診断を行っています。治療では、難治性てんかんをはじめとして、QOLを重視した薬物動態に基づく合理的治療を実践しています。また、てんかんに合併する精神症状の診断と治療にも積極的に取り組んでいます。

6. チーム医療

他診療科・多職種連携の中で、認知症ケア、リエゾン、緩和ケアなどのチーム医療に活発な臨床活動を行なっています。総合病院における精神医療に貢献しています。

精神医学研究室

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