福井大学医学部

分子生理学(生理学1)

機能するタンパク質の姿をナノ(=1ミリの100万分の1)の視点で捉える

研究室紹介

タンパク質研究の分野ではこれまで、結晶構造解析という研究方法が強力に推し進められてきました。その結果、非常に多くのタンパク質の立体構造を、あたかも手に取るかのように見ることができる時代になりました。しかし、そのタンパク質が実際どのような仕組みでそれぞれの活性・機能を発揮しているのか、明らかになった例はほとんどありません。自動車の写真だけを見ていても、それが前に進むのか、はたまた翼が出てきて空を飛ぶのか全く見当がつかないのと同じことです。走る様子を見て初めて、タイヤという部品が回って自動車が前に進むと理解できます。タンパク質の機能も、実際に働く姿(構造変化)を捉えられなければ、そこに存在する作動原理を正しく理解することは困難なのです。本研究室には、様々なバックグラウンドを持つスタッフが集まっています。そして、生命の基本分子・タンパク質が働く様子を、ナノ(=1ミリの100万分の1)の視点で捉えることを目標に研究を進めています。特に最近は、イオンチャネルタンパク質の1分子構造変化をリアルタイムで追跡するというテーマに、研究室を挙げて取り組んでいます。その成果の1つとして、チャネルタンパク質1分子が構造変化する姿を動画撮影することに、世界で初めて成功しました。この成果に対しては、世界中から多くの反響がありました。現在は、さらに撮影速度を上げて1分子のより精密な動きを解析すること、そして、より多くのタンパク質構造変化の解析に応用可能にすることを目指しています。当初国内だけで研究を行っていましたが、現在は海外の研究グループとも共同研究を進めています。結晶構造解析の次に来る潮流・タンパク質1分子ダイナミクス解析の先頭を走りたい、スタッフは少数ですが、本研究室ではそのような志を持って研究を行っています。

分子生理学(生理学1)研究室

TEL
0776-61-3111