福井大学医学部

育成期看護学

研究紹介

波﨑 由美子 教授

母娘の乳がんに関する知識、意識、伝達の実態および影響要因の検討

 

嶋 雅代 准教授

母親の母乳育児に関する感情や意思が母乳育児に与える影響を明らかにし、母乳育児継続に向けた支援のあり方についての提言

主要研究テーマ

「性のピアカウンセリング、ピアエディケーション手法を使用した大学生の健康教育に関する研究」

【代表研究者: 波﨑 由美子教授】
看護学生が大学生や高校生に対して、性に関する学習を積んだピアカウンセラーとして、性行動、避妊、性感染症に関するピアカウンセリング、ピアエディケーションで介入した結果、意識変化という一定の効果は認められたが、行動変容にまでは期待できなかった。
しかし、看護を学ぶ大学生にとって性の健康教育を実施する経験が最大の教育効果であった。

「母娘の乳がんに関する知識、意識、伝達の実態および影響要因の検討-医療・非医療系女子大学生とその母親の比較-」

【代表研究者:波崎由美子 教授】
これまでに福井県在住の中高年女性に対して乳がん・子宮がん啓発教育を実施してきた。教育により参加者の検診に対する意識の高まり、乳房自己検診実施者の増加という一定の効果がみられたが、検診受診行動に有意な変化は認められず、行動変容のための新たな打開策が必要と考えられた。
そこで、受診行動に影響を与え得る要因のひとつに、母親とその娘の保健知識の伝承があることに着目し、母娘2世代を一体とした新たな教育プログラム開発に取り組んでいる。

2009年、(1)医療系女子大学生とその母親群、(2)非医療系女子大学生とその母親群を対象とした乳がんに関する知識・意識,伝達状況に関する調査を実施した。その結果、非医療系女子大学生の乳がんに関する知識や意識は、医療系女子大学生および母親世代に比べて有意に低く、早急な啓発教育が必要と考えられた。
2010年には、非医療系女子大学生を対象とした乳がんおよび子宮がん啓発教育プログラムを実施、評価し、女子大学生へのよりよいプログラム開発への示唆を得ることを目的とした。教育系女子大学生33名を対象に、ヘルスビリーフモデルを基盤に作成した70分程度の教育プログラムを開催し、前後に無記名自記式の質問紙調査を実施した。その結果、子宮頸がんに関する知識に有意な得点の上昇が認められた。しかし、乳がんに関する知識には有意な差は認められなかった。意識については「子宮頸がん検診を定期的に受けたい」「必要な年齢になったら乳がん検診を定期的に受けたい」「乳房自己検診を実施したい」に、有意な得点の上昇が認められ、本プログラムにより女子大学生の検診への意識を高めることができた。以上の結果から、教育プログラムの有効性が示唆された。これらの教育効果が検診受診行動に結びつくかの検討が必要である。

育成期看護学研究室

TEL
0776-61-3111