福井大学医学部

統合生理学(生理学2)

医学科講座配属

7月には、医学部3年生を対象とした講座配属実習を担当しています。いわゆる実習とは異なり、研究です。何を知りたいのか(研究の目的)、何をするのか(方法)を学生が自分たちで考え、討論してから実験を始めます。

2017年度は齋藤君と崎尾君が配属になりました。齋藤君は、ホジキン・ハックスレーの活動電位モデルをプログラミングしました。

崎尾君はマウス心臓のランゲンドルフ灌流に挑戦しました。

2015年度は、2つの研究課題を行いました。

Bリンパ球におけるNaイオン動態に関する研究 (指導教員:松岡 達、竹内 綾子)

受講学生:高久 直子、細川 泰

「私たちは今回の研究室配属で、細胞内のイオン濃度変化(たとえばCa2+やNa+)を外部からの刺激を与えて観察している。使っている細胞はA20というリンパ球で日々継代培養を行っている。Ca2+の変化を見るときには、Fura2という蛍光色素を細胞にロードし、蛍光顕微鏡で観察したのちにAnti-IgGを加えることによって観察を行った。IgGが細胞膜上のレセプターに結合することでIP3やIP3Rを介した小胞からのCa2+の放出が見られ細胞内の[Ca2+]の上昇がみられる。それに反応して細胞膜上のCa2+チャネルも開きCa2+の流入が起きる。詳しく説明するとややこしくなるので割愛するが回収、流入を繰り返し、細胞内の[Ca2+]は変化する。この時ミトコンドリアから細胞質へのCa2+の流出(Na+-Ca2+トランスポーターを介した)が大切な役割を担っているようで、それを最終的には調べていきたいと考えている。これを書いている現在では細胞内のNa+の変化を観察しており、失敗もあるが楽しく実験・観察を行っている。やっている実験のバックグラウンドにある知識が講義で習ったり教科書で学んだりが可能な範囲を超えている部分もあり難しくも感じるが、説明を受け、考えて今までの自分の知識につながると楽しく思う。配属期間の残りもあとわずかだが、力を尽くしたい。」

ラットの行動制御における性ホルモンの役割について (指導教員:村田 拓也、成田 和巳)

受講学生:加藤 大思、竹川 莉菜子

「私たちは雌のラットを使った実験をやっています。ヒトやラットなどの動物の卵巣では女性ホルモン(エストラジオール)が作られています。この女性ホルモンは排卵の前にたくさん分泌され、その後徐々に減っていき、また次の排卵が起こる前にたくさん分泌されます。ラットにおけるこのサイクル(性周期)は4日間で回り、一日ごとに違う性周期を呈します。ラットの性周期の判断にはスメアテストを用います。毎日ラットの摂食量と体重増加量、性周期を記録し、これらに関係があるのかを研究しました。また、性周期と行動量にも関係があるかを記録、観察を行いました。

 正常なラットを一週間観察したのちに卵巣摘出手術を行い、ラット自身で女性ホルモンを作れないようにした状態で、摂食量、体重増加量、行動量を観察し、正常なものと比べて女性ホルモンがこれらに影響を与えるのかを調べています。

 ホルモンの分泌やその影響については二年生の授業で勉強しました。その知識を生かして実験を行ってますが、教科書に載っていない最新の文献も読みつつ、研究しているので新しいことも学べて興味深く、充実しています。」

統合生理学(生理学2)研究室

TEL
0776-61-3111