福井大学医学部

基盤看護学

研究内容紹介

基盤看護学領域は、看護の対象である人間を総合的に捉えることを基盤として,看護における基本的概念や看護理論、看護倫理、専門職としての看護業務展開、科学的根拠に基づく看護技術等、看護の基礎を形成する学問領域です。ここでは、(1)ヘルスアセスメント能力の評価と教育に関する研究,(2)看護診断の正確性の研究,(3)現象を理論化・一般化する研究手法(内容分析・データマイニング)の開発,(4)専門職のマネージメント(看護管理)に関する研究,(5)入浴・足浴が人体に与える影響,(6)タクティールケアの効果の検証,(7)看護学生の禁煙支援力育成のための研究,(8)看護師の感情労働と精神的負担感、など多くの研究を行っています。

主要研究テーマ

看護診断の正確性に関する研究

看護活動とは、対象の健康に関わる問題を的確に診断し、問題解決のためのケア計画立案、実践、そしてその成果を評価するという問題解決過程である。その中で、患者主体の看護ケアの質を保証するためには、正確な看護診断が基本である。看護診断は、看護における診断過程において、多くの知識と技術を駆使し正しく判断した結果生まれる臨床的判断であり、その診断が正確でないと、患者の状態が他者に明確に伝わらないだけでなく、患者に適切な処置が行われず、最悪な場合生命を危険な状態にさらすことになる可能性もある。また、看護師が各患者に対し確実に正確な看護診断を行う能力を身につけることは、看護の質の向上とそれに伴う医療サービス利用者の利益の向上に繋がるため、看護診断過程の能力を包括的に育成するためのプログラムの開発、教育的介入に関する研究に取り組んでいる。

尺度開発、コミュニケーションに関する研究

尺度・コミュニケーションに関する研究では、病室環境におけるディストレス度測定尺度作成の開発、学生用のコミュニケーション能力を測定するツール、看護師用のコミュニケーション能力測定ツールを開発し(尺度開発)、また、看護教育、技術、ストレスととコミュニケーション能力との関係、対人関係能力に関する研究を行い、臨床教育、学部での看護教育に活かしている。

看護の現象を解明するための内容分析(Content Analysis)、データマイニング(Data Mining)利用した理論の生成方法についての研究

理論生成に関する研究では、内容分析を用い、ミックスメソッドにて現象を可視化する方法を開発し、質的量的研究両面から現象を分析している。これまでに、がん患者の思い、看護師の言葉の解析などの研究を行い、また授業評価にも活かしている。地域での活用として、内容分析の手法を用いた観光客がとらえる八尾町の印象とまちづくりの視点 観光客からの1,011通の手紙を分析して、町の活性化、バリアフリーに向けた提言を行ってきた

看護管理に関する研究

看護管理に関する研究では、看護婦の自己開示度、孤独度の職務満足度へ影響、職務満足度とリーダーシップとの関係、勤労意欲等の研究、新人看護師の技術評価に関する研究を実施し、実践の場での看護管理・教育に役立てている。

看護学生の喫煙防止教育および禁煙支援力育成教育

看護職者は、喫煙者に対し禁煙指導を実施する役割を担っているが、現在、看護職者の喫煙率は一般成人の喫煙率よりも高い結果となっている。さらに喫煙している看護職者は喫煙していない看護職者に比較して、患者への禁煙指導がなされていないことが明らかにされている。喫煙はニコチンへの依存性のため一旦開始するとやめることが困難であることから、看護学生が喫煙を開始する前に喫煙を防止するための教育を実施することが重要である。そして、将来看護職につき禁煙指導者としての役割を担うには、その実践能力を身につけるための禁煙支援者育成教育も平行して実施されることが必要である。以上のことから、看護学生を対象とした喫煙防止教育および禁煙支援力を育成するための教育方法についての研究に取り組んでいる。

基盤看護学研究室

TEL
0776-61-3111