福井大学医学部

皮膚科学

研修や入局を希望する皆様へ

福井大学研修プログラム(pdfファイルが開きます)

皮膚科学・・それは眼に見える皮膚の総合医学

ポリクリを回った学生さんの感想には、次のような内容が少なくありません。『思った以上に領域が広く、皮膚と関連した総合医学だという印象を持ちました。』その通りです!現在でこそ臓器別診療科が増えていますが、皮膚科学は50年以上も前から臓器別診療を行ってきた非常に専門性の高い診療科です。しかも、皮膚と関連した内科的な疾患(膠原病)から、外科的な疾患(腫瘍や皮膚外科)まで幅広く膨大な数の疾患を網羅します。また、皮膚科医は、病理医だけに頼らず、自分たちでも病理診断を行っています。皮膚科学の特徴として、『眼に見える』ということがあります。このため、全身性(内臓)疾患を皮膚疾患から発見することが出来たり、治療効果がはっきりわかることから、非常にやりがいを感じる診療科です。

当教室の目指すもの・・・

当たり前かもしれませんが、『社会に役立つ医師を育てること』が教室の目標です。個々の医師の能力、目標、価値観は様々ですが、誰しも社会的使命感を持っているはずです。膠原病のような難病の患者を救いたい、皮膚癌の患者を手術で助けたい、アトピー性皮膚炎のようなありふれた疾患を良くしたい、高齢者が増えるので褥瘡などの治療に頑張りたい、子育てしながらパートで皮膚科診療を続けたい、研究で頑張って世界に貢献したい・・などの『若い人たちの夢を叶えられる教室』を作ります。教授が変わったばかりで組織が未完成な今だからこそ、自らが今後の教室の中心となって頑張りたいという冒険心溢れる方にもチャンスがあります。そして、個々の目標は違っても、皆が仲良くチームとなってまとまっていける教室でなければなりません。小さな教室だからこそ、アットホームな雰囲気の中で、『医局員、学生、診療・研究スタッフ、患者さん、そして自分の家族も大切にできる教室』です。年間10日間のリフレッシュ休暇をとることを義務づけ、新人歓迎会、バーベキュー、ソフトボール大会への参加、忘年会など、若い先生が仕事もプライベートも楽しめて、教室内外の交流が深まるようなイベントを催しています。

女性医師や年齢の高い方も働きやすい

なんと日本の皮膚科医の約半数は女性、しかも20代では7割近くが女性です!このため、日本皮膚科学会では、『皮膚科の女性医師を考える会』を設けて、女性医師が働きやすい環境を作れるように全国的な取り組みを開始しています。女性が多い理由は何故でしょうか?皮膚科診療では病棟に比べて外来診療が占めるウェイトが高く、当直や夜遅くまでの勤務ができなくても、外来医師として十分な仕事をすることが可能だからです。もちろん、子育てをしながらでも専門医や学位の取得などに頑張ってほしいと思いますし、それを支援してまいります。また、年齢の高い研修医の方には、皮膚科は非常にお薦めです。数年間一生懸命頑張れば、一人前の皮膚科医になること、そして専門医の取得も可能だからです。また、新しい技術や機器を必要とすることが少ないため、時代に取り残されることがなく、むしろ診療経験が物を言います。このため、高齢になっても診療が続けやすく、先代教授の熊切先生は、今でも元気に沢山の患者さんを診察されてたり、皮膚病理の研究を続けられています。皮膚科医の魅力のひとつは、非常にQOLが高く、息が長いということです。

研究・留学

現在の若手医師を取り巻く環境の影響かもしれませんが、研究に興味のある医師が減ってきています。他のアジアの国々などでは、研究が盛んになってきているところも少なくなく、このままでは日本の科学研究は間違いなく衰退します。そういう時代だからこそ、今後は研究もできる視野の広い臨床医が重用視される可能性が高いと思います。また、実際に、悪性黒色腫や乾癬などで現在使用されている分子標的薬などは、研究の経験がないと作用機序などが十分に理解できない可能性があり、今後は研究の経験なしに一流の臨床家になるのは難しいのではないかと思います。また、もし将来的に医師過剰の時代がきた場合、専門医は皆当然のように持っているとしたら、学位の有無が重用視されないとも限りません。将来的に医療の国際化が進むと、国際的な資格である学位の有無がこれまで以上に大切になるかもしれません。最初から研究に興味のある人は少ないと思いますが、やってみると夢中になる人が少なくありません。当教室では、臨床の遅れが生じないように、大学院生であっても原則として臨床を続けながら研究を行ってもらいます。最初から難しい内容で挫折することがないように、確実に結果が出るようなテーマ(臨床に直結したもの)や指導体制を有しておりますので、ご安心ください。

また、基礎の教室との連携も進めていきたいと思いますし、基礎の教室で研究する機会を希望される場合には、相談に応じます。そして、教室に大きく貢献してくれる方には、学位取得後などに留学の機会を考慮しますので、世界へ羽ばたいてください。

当教室での研修や入局を考えている方へ

以前は、外用治療などの対症療法が主体で地味なイメージであった皮膚科ですが、これからは『皮膚科が輝く時代』ではないかと思っています。最近では、乾癬、悪性黒色腫などで抗体などの分子標的薬が使用されるようになり、画期的な効果を示しています。また、重症疾患ではないということで以前は軽視されていたざ瘡や爪白癬などのいわゆるcommon diseaseが注目されるようになりました。軽い症状でも患者さんにとっては重要で、患者さんの数が圧倒的に多いことから、これらの分野に続々と新薬が出てきています。また、皮膚科の診療に限らず、良く効く新薬というのは副作用が多く、薬疹の頻度が高率で、皮膚科医の助けがないと他科の診療にも差し支えるようになっています。欧米などの先進国や台湾では、皮膚科は学生の人気が非常に高く、皮膚科医の数に制限が設けられているために選抜が非常に厳しいそうです。日本でも、都会等の人気の高い大学では入局制限が始まっています。一部の地域では新専門医制度でシーリングがあり、今後は皮膚科医になることが難しくなるかもしれません。また、診断能力と顕微鏡さえあれば世界のどこでも診察が可能で、開業も最もしやすい診療科のひとつです。そして、実力があれば、開業医さんであっても病院以上の診療が可能なのも皮膚科ならではかと思います。特に福井県は皮膚科専門医が最も少ない県のひとつで、皮膚科医が不足しています。『福井県で皮膚科医になるには今がチャンス』かもしれません!

長谷川教授からのメッセージ

当教室では、伝統的に力を入れてきた腫瘍、皮膚外科などの外科的な分野から、膠原病などの内科的な分野まで、守備範囲の広い診療を行っております。アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、蕁麻疹、薬疹、白癬、乾せん、蜂窩織炎など、皮膚科の代表的な疾患については、短期間でその診療をマスターできるように指導しております。このようなありふれた皮膚疾患だけでなく、腫瘍、皮膚外科、膠原病などの難しい分野にも対応できる皮膚科医はどこに行っても重宝されますが、そういう皮膚科医を育てることを目標にしています。また、当教室では病理学の先生方にもお力を借りながら、皮膚疾患の診断に重要な病理学をしっかり指導いたしますので、病理学的所見に基づいた正確な診断が出来るようになります。是非、当教室での研修を考えてみてください。

我が国の皮膚科学を創設し、日本皮膚科学会を開いた元東京大学皮膚科教授の土肥慶蔵先生(写真参照)は、世界的にも皮膚科医であれば知らない者はいないくらい有名です。実はこの土肥先生は、越前府中松原(現福井県武生市)の出身です。皮膚科学の神様を生んだこの福井県から、多くの素晴らしい皮膚科医を輩出したいと思います。最後に、東京大学の退職演説で土肥先生が学生に述べた言葉を紹介します。『人間の運命の一寸先は闇である。然し、努力の頭上にはいつも明星が光る。一にも努力、二にも努力であり、職務に忠実であれ、是が人間出世の最大要領である』

どの進路を選んだとしても、皆さん頑張りましょう!

研修や入局に少しでも関心や質問のある方は、お気軽に当教室までご連絡お願いいたします。

医局見学は随時受け付けておりますし、医局説明会も不定期に行っていく予定です。

 

皮膚科学研究室

TEL
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