福井大学医学部

行動科学(心理学)

教育内容紹介

「どんな医師・看護師になりたいですか?」と質問すると「患者さんの気持ちを理解できる医師・看護師になりたい」と答える学生さんは少なくありません。その学生さんに、「じゃあ、患者さんの気持ちを理解するってどうすればいいの?」と尋ねると、「わかりません」。「心理学」を学ぶ一つの理由は「人の心を理解すること」。現代の医療者に求められる「患者さんの目線に立った医療を目指す」とは、まさに心理学で学ぶことそのものと言えます。本学医学部では、単なる一般教養としての心理学概論ではなく、心理学の基礎を学びつつ、それが将来、患者さん本意の医療にどのように役立てることができるかを、学生さん自身が考えられるように教えていきます。たとえば「この治療を行えば5年生存率が90%です」と言われたら「90%もある!」と思いますか?「90%しかない・・・」と思いますか? たとえどんなに楽天的な人でも、重い病の告知を受けたあとで、医師からこのように言われれば、「残りの10%に入ったらどうしよう」と考えるようになるでしょう。「私なら」という自分目線を、「患者さんなら」という目線に変えること、そして患者さんの気持ちに「共感」するということはどういうことかを学びます。そのための授業では、心の働きを身体の一つの反応としての「行動」ととらえ、「学習」「記憶」「ストレス」「動機づけ」「性格」「心の治療法」などを学びます。患者さんと医療者間など人と人との関わりで、笑顔や話しを聴くことの大切さ、逆に怒りや不安をもってしまうこと、そしてそれらを制御する心と脳の機能について、「情動」や「コミュニケーション」の授業でとりあげます。医師や看護師は24時間態勢で臨む職業です。そのため身体のリズムが環境に合わせられなくなり、不眠などの障害を引き起こします。これらの障害は医療事故の原因にもなり得ます。将来、身体に合ったシフトワーク・スケジュールを組めるように、生体リズムとそれを動かす体内時計の脳メカニズムについて、「生体リズム」の授業で学びます。他に、「患者さんの目線に立つ」ということを実感してもらう体験教育として、希望する学生さんに、附属病院受付でのボランティア実習を行っています。

行動科学(心理学)研究室

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