福井大学医学部

成人看護学

研究内容紹介

臨床看護学(成人看護学)はライフサイクルにおける青年期・壮年期における人を対象とし、健康障害の経過としての急性期、慢性期、回復期・リハビリテーション期、終末期における多様な健康問題と看護ケアを研究課題領域としている。研究テーマは①がん看護に関する看護の専門性に関する研究,②糖尿病患者のセルフケアに関する研究,③がん患者会の経時的変化に関する研究,④福井県のがん患者会・サロンのネットワーク構築に関する研究,⑤自立を促す車椅子移乗動作に関する研究,⑥実習にケアリングを導入するための基礎的研究,⑦看護技術熟達化のための教育方法の開発に関する研究,⑧外来化学療法を受けているがん患者に対する遠隔看護を用いた介入研究などを実施している。

業績年の進捗状況

がん看護では、壮年期にあるがん患者の認識、がん看護専門職の役割と看護実践、高齢がん患者が在宅で療養生活を続けるための支援のあり方について、がん化学療法における家族支援と専門的チームアプローチ、がん患者会の経時的変化、福井県のがん患者会・サロンのネットワーク構築について研究し、成果を発表した。慢性期看護については、脳腫瘍患者のケアの現状と課題、2型糖尿病患者のセルフケア能力、高齢糖尿病患者の支援、リハビリテーション看護では、下肢や体幹の支持性が低下した患者の自立を促す車椅子移乗動作に関する研究を発表した。老年看護としては、急性期病院における認知症高齢者ケアとして,退院支援への取り組み,効果的な院内デイの実践について,高齢者の便秘状態のアセスメントおよびケア方法,褥瘡予防マット使用における姿勢の変化について研究し成果を発表した。これらの研究に関して科学研究費補助金や学内競争経費への申請に努め、基盤研究(C)、挑戦萌芽研究、さらに学内競争経費など採択数の増加を図った。これらの成果をさらに推進し看護学基礎教育に反映している。

また、文部科学省「地(知)の拠点整備事業」の一環として、「外来がん治療における多職種連携に関する研究 -支援の必要ながん患者のスクリーニングと多職種連携について-」「地域で生活するがん患者・家族の為の患者会・サロンのネットワークの構築」「福井市と連携した糖尿病予備軍への指導と学生参加型教育」「福井市の糖尿病予防に係る支援・評価と学士・修士課程における糖尿病教育への授業展開」のテーマで地域と連携した研究や活動を行っている。

特色等

がん看護において、がん患者・家族・医療従事者が参加する患者会(みのり会)や親睦会(なごみ会)を定期的に開催し、加療・療養中の患者・家族の身体的・精神的支援を行っている。また、年に3回成人看護学研究会を開催している。そこでは大学院生を中心にさまざまな施設から看護師や教員が集まり、臨床や教育における課題をテーマに理論学習や事例検討を行っている。

主要研究テーマ

〇福井県内のがん患者会・サロンのネットワーク構築に向けての取り組み

福井県内のがん患者会とサロンの横のつながりは皆無の状態であった。各患者会・サロンに呼びかけ代表者が定期的に集い「病院間の垣根を越えたがん患者・家族・支援者の交流会」開催やネットワーク会議を重ねることで、代表者間につながりができ、受け身の姿勢から前向きな姿勢へと変化してきている。交流会の開催後のアンケート結果では、初めての場所、初対面であっても同じ体験者同士で互いに語り合えたことは、参加者の喜びや安心につながっていた。今後は活動の場を広げていくと共に、更なる患者力の強化を図っていく。

〇外来化学療法を受けているがん患者に対する遠隔看護を用いた介入研究

在院日数の短縮化と医療技術の進歩に伴い、高度な治療が外来で行われるようになり、外来での継続治療や個々の患者に応じたタイムリーな看護提供が求められる。特に外来化学療法を受けるがん患者さんは治療による副作用のリスクが高く、自宅での予防行動を含めたセルフマネジメントが重要となる。 治療を受けている患者さんが副作用症状や治療効果を速やかに自覚できるように身体状況を可視化し,その情報をもとに看護師が遠隔的に教育支援や健康相談を行う遠隔看護システムの開発と効果検証を行っている。

成人看護学研究室

TEL
0776-61-3111